前立腺の病気(前立腺とは?)

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前立腺といっても、どこにあるのかご存じでない方が多いのではないでしょうか。前立腺は膀胱の真下にあるクルミ大の臓器で(成人で約20グラム)、精嚢(せいのう)と一緒に精液をつくる役目を果たしています。その真ん中を通っているのが尿道です。そして、前立腺は膀胱出口の開閉にかかわっており、排尿のコントロールにも関与しています。

前立腺肥大症

最新の温熱療法機器を導入しています
男性は年をとってくると、若い頃に比べて尿の出が悪くなるものです。その原因の中で一番多いのが、前立腺肥大症です。前立腺が肥大して大きくなると、内側を走る尿道を圧迫したり、前立腺の筋肉が過剰に収縮して尿道が圧迫されたりするために、尿が出にくくなるなどの排尿障害が現れるようになります。前立腺肥大症による排尿障害を長きにわたって放置しておくと、肥大が進み、膀胱に残る尿の量が増え、感染症や腎不全などの疾患を引き起こすことがあります。症状が現れたら、自己判断せずに、専門医に相談しましょう。

前立腺肥大症の診断と検査

排尿障害の原因となる疾患があるかどうかなど(病歴)を聞き取り、以下のような検査を組み合わせて総合的に診断します。

IPSS(国際前立腺症状スコア)

自覚症状の程度を点数化する採点表です。10点以上なら専門医への受診をお勧めします。あなたの前立腺肥大の程度はどのくらいか試してみてください。
IPSS(国際前立腺症状スコア)

尿流量測定(ウロフローメトリー)

測定装置に向かって排尿することにより、尿の勢いについて、時間を追って調べます。尿流量が数値とグラフで表され、排尿障害の程度を確認することができます。前立腺肥大症を診断する場合には、前立腺がんをはじめとするその他の疾患が合併していないことを確認する必要があります。

超音波検査

前立腺の大きさ・形・内容を観察します。また残尿(膀胱に残っている尿)量の計測もできます。その他の病気(がんや結石)の有無を診断します。

血液検査(前立腺腫瘍マーカー・PSAなど)/尿検査

血液検査を行い、腎機能障害や前立腺がんの有無をチェックします。尿検査では前立腺だけでなく、他の臓器に異常が無いかについても確認します。

前立腺肥大症の治療

前立腺肥大症の治療では、以前は手術で前立腺を切除する方法が主流でした。現在では薬物療法(薬による治療)が中心となっており、「α1遮断薬」が前立腺肥大症に付随する排尿障害に対する第1選択薬となっています。一方、前立腺が大きい方や自覚症状が強い方は、将来的に排尿障害が増悪し、尿閉の併発や手術が必要になるリスクが明らかに高くなります。このような方には「5α-還元酵素阻害薬」を併用すれば、そのリスクが減少します。
当院では、薬物療法を中心に、治療による体への負担、前立腺肥大の程度・自覚症状・合併症の有無などをチェックしながら、治療を進めていきます。
また、日帰りで行える温熱療法も導入しています。
患者様に応じた治療を進めていきましょう。

前立腺がん

  • 前立腺がんが増えています
  • 低悪性度の前立腺癌は監視療法で共存します
  • ロボット手術も進歩
  • ホルモン治療

前立腺がんは、年齢とともに増えてくる病気です。近年、日本では急激に前立腺がんの患者数が増加しており、1975年に約2,400人だった患者数が2006年には2万3,000人にも増加しています。がんの中でも、今後、最も増え方の著しいがんと言えるでしょう。

前立腺がんの症状

前立腺がんに特有の症状というのはありません。前立腺肥大症と共存することもあります。この場合は排尿困難や頻尿など、下部尿路症状などがみられます。

前立腺がん検査の流れ
PSA(前立腺特異抗原)

PSAは、体の中にもともと存在する成分で、健康な方でも前立腺でつくられています。しかし、前立腺がんがあると、血液中のPSA量が急激に増加するので、前立腺がんの早期発見にあたって、とても重要な検査です。血液検査だけで測定できるため、前立腺がんの集団検診にも使用されており、早期発見に役立ちます。

4ng/ml以下

陰性:定期的にPSA検査をして経過を見守ります。

4.1ng/ml〜10ng/ml

グレーゾーン:正常値より若干高めの値で、がんの人と前立腺肥大症など、前立腺の他の病気の人が含まれている可能性があります。

10.1ng/ml以上

陽性:がんがあることが疑われます。高い場合は数百ng/mlという数値が出ることもあります。

直腸診

前立腺の大きさ・硬さ、表面のなめらかさを直接指で触って確認します。

超音波検査

前立腺の大きさ・形・内容を観察します。

MRI

前立腺内部の質的診断が可能で、特に悪性度の高い癌の検出に有用です。

前立腺生検

超音波を用いて前立腺組織の一部を採取し、がん細胞の有無を調べます。がんであるか否かの確定診断ができます。

前立腺がんの治療

前立腺がんの治療法は進行の程度によってそれぞれ異なりますが、患者さんの状態や年齢などを考慮し、最適な治療法を選択します。

監視療法

悪性度の低い癌であれば進行も遅く、定期検査で治療せず寿命を全うできます。

手術

ロボット手術(ダビンチ)がトピックなように目覚ましい進歩により、出血が少なく、尿失禁、勃起不全の機能障害も従来の手術より少なくなりました。

放射線療法

手術で傷をつけずに癌の根治が可能です。周囲への放射線被爆の影響もかなり減少してきました。

ホルモン治療

抗癌剤ではなく男性ホルモンを抑えることで進行を抑えることができます。長期的には副作用にも注意が必要になります。新薬の開発もめまぐるしく、高額でもあります。的確な治療選択が求められます。

前立腺がんは、他のがんと同様に早期発見が重要です。50歳以上の男性は、年に1回のPSA検査をお受けになるよう、お勧めします。当院でも、血液検査などによる前立腺がんの検査を行っておりますので、ご相談ください。

急性(細菌性)前立腺炎

尿道から侵入してきた細菌が、前立腺に感染することによって発症します。排尿後の熱感や痛み(排尿時痛)、残尿感、頻尿などの症状が起こります。尿は濁り、血尿が見られたり、尿道から膿が出たりもします。高熱や食欲不振などの全身症状を伴うこともあります。年齢に関係無く発症しますが、前立腺肥大症を合併していることも少なくありません。

急性(細菌性)前立腺炎の検査

尿中の細菌や白血球の有無を調べます。必要ならば、血液検査を行います。肛門から指を入れて、前立腺を触診(直腸診)すると、疼痛・熱感を伴う腫大した前立腺が触れます。

急性(細菌性)前立腺炎の治療

熱が高く、緊急を要する場合は、入院が必要になります。点滴を行い、細菌に有効な抗生剤を使用します。症状がそれほど重くない場合は、内服薬を用いながら、外来で治療することもあります。

慢性前立腺炎/慢性骨盤疼痛症候群(CP/CPPS)

下記のような症状があるのなら、慢性前立腺炎の可能性があります。

  • 排尿時や射精時に痛みや不快感を覚える。
  • 尿道や陰嚢と肛門の間(会陰部)に違和感や痛みがある。
  • 恥骨部ないし膀胱部から睾丸あたりかけての不快感がある。

慢性前立腺炎は、あまり一般に知られる病気ではありませんが、20~40代の若い世代に多く、症状は会陰部不快感・排尿障害・精液に血が混じるなど様々です。いずれの症状も強くはなく、何となく感じる程度のあいまいなものです。症状の増悪因子としては飲酒、過労、緊張、長い時間の座位姿勢、刺激物の多量摂取、骨盤底への慢性的な物理的刺激(プロドライバーや自転車通勤者)などが挙げられます。

慢性前立腺炎/慢性骨盤疼痛症候群の検査

超音波検査で前立腺の状態を確認し、尿の細菌培養で原因菌を特定します(菌は、いる場合といない場合があります)。前立腺をマッサージした後で尿を検査し、白血球の有無や数、細菌の有無などを検査することもあります。

慢性前立腺炎/慢性骨盤疼痛症候群の治療

治療法は、慢性前立腺炎のタイプによってそれぞれ異なりますが、治療は感受性に合った適切な抗菌剤と前立腺のむくみをとる薬による治療が中心になります。排尿障害の治療に用いられるα遮断薬が有効であるという報告もあります。症状が落ち着いたら、漢方薬を積極的に用います。この病気で留意すべきことは、症状が改善するまでに時間がかかる(数ヶ月単位)点です。根気よく、着実に治療を続けましょう。

腎臓の病気

腎腫瘍

腎腫瘍には良性と悪性があります。良性のものは腎嚢胞や腎血管筋脂肪腫などであり、悪性のものは腎がん(正式名称は腎細胞がん)と呼ばれています。

腎のう胞

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腎のう胞とは、腎臓に生じた、液体成分が貯留した袋状の腫瘍です。1個のこともあれば、数個見られる場合もあります。ほとんどの人は症状が無く、多くは健康診断の超音波検査やCT検査で偶然見つかります。のう胞が大きくなると、腹痛や背部痛、血尿などの症状が現れることもあります。稀ながら、のう胞壁に石灰化や不整が見られた場合は、悪性(のう胞性腎がん)のこともあるので、健診などで腎のう胞との指摘を受けたら、泌尿器科への受診をお勧めします。きちんと腎のう胞との診断がつけば治療は必要無く、経過観察だけで問題ありません。

腎血管筋脂肪腫

腎血管筋脂肪腫は、血管・筋肉・脂肪で形づくられた良性腫瘍です。通常、自覚症状は伴いません。基本的には良性のものですから、超音波検査などによって経過観察をしていけばよいのですが、大きくなると破裂や出血を招くことがあります。このため、大きいものでは動脈塞栓術や手術を行ったりします。また、腎細胞がんとの鑑別が難しいケースがあり、診断を兼ねた手術を行うこともあります。

腎臓がん

血液をろ過して尿をつくる腎実質に発生する尿細管由来の悪性腫瘍です。50~60歳代の男性に多くみられます。日本での患者数は年々増加し、2020年には約6,000人の方が腎臓がんで亡くなられることが危惧されています。 一般に男性が女性に比べて約2倍、この病気に罹りやすいとされています。
以前は、血尿・疼痛・腫瘤が3大症状とされていました。しかし、最近では、健康診断や人間ドックでの超音波検査(エコー)の普及により、早期がんの状態で発見される偶発がんが過半数を占めるようになりました。
抗がん剤や放射線療法では、治療に抵抗するため、手術による治療が主体です。転移が見つかった進行性の腎臓がんや、手術後に再発した腎臓がんの患者さんについては、近年、分子標的薬による治療が行えるようになりました。

腎(尿管)結石症

尿管結石の痛みは、七転八倒の苦しみで起き上がれないほどで、その痛みの強さから救急車で受診する方も少なくありません。尿路結石の痛みは、結石が腎盂や尿路から動いて尿の流れが阻止される際に起こるとされ、同じ人が何度も経験することも少なくありません。結石の成分により発生原因は様々ですが、生涯を通じ何回も繰り返しやすい病気ですので、当院では尿検査・超音波検査などで、主に再発のチェックをし、生活指導を行います。

膀胱・精巣の病気

膀胱がん

膀胱がんは、50歳代以上に多いがんです。自覚症状の無い血尿(痛みなどの症状を伴わない血尿)が出た時は、要注意です。コーラのような色から、真っ赤な鮮血までいろいろですが、尿の一般的な検査に加え、細胞検査、超音波エコーや膀胱内視鏡を用いた検査を行います。
膀胱がんは喫煙歴や有機溶剤との関連性が知られています。早期に発見できれば、内視鏡手術で治療することが可能ですが、進行がんや悪性度の高い浸潤がんなどは、膀胱を取る大手術を行わなければならないケースもあります。

間質性膀胱炎

原因不明の炎症が膀胱に生じ、頻尿・残尿、膀胱や下腹部の痛みなどが現れる病気です。年齢的には40歳以上が多く、女性に目立ちます。頻尿、尿意切迫感などの症状に加えて膀胱あたりの痛み、特に尿が貯まってきた際に恥骨上部の痛みを訴えるようなら、間質性膀胱炎の疑いが濃厚です。検査では、ほとんど異常がみられませんが、膀胱鏡検査でハンナー潰瘍という特徴的な所見、あるいは膀胱拡張時の特徴的な点状出血を認めた場合には、間質性膀胱炎との診断が確実なものになります(これらの所見が無くても、間質性膀胱炎と診断して治療を行うこともあります)。
治療は難しく、水圧拡張術、薬物療法などを行いますが、定まった効果は得られません。細菌性膀胱炎と診断され、抗生剤の長期投与を受けていたり、過活動膀胱と診断され、抗コリン剤の投与を受けていたりしますが、軽快せず、複数の医療機関を受診なさる患者さんも、少なからず見受けられます。間質性膀胱炎は、医師が疑わない限り診断されることはありませんので、もしも疑われるような場合には泌尿器科専門医への受診を強くお勧めします。

陰のう水腫

精巣を包んでいる膜に水が溜まる病気です。針で水を抜く処置をすれば軽快しますが、高い確率で再発します。根本的に治すためには、手術が必要になります。 小児の場合は、自然に治るケースもあります。

精巣上体炎

尿道から細菌が侵入し、精管(精子が通る管)を上行して、精巣に付属する精巣上体に感染する疾患です。多くは38度以上の発熱と陰のうの痛みを覚えますが、あまり症状が見られないこともあります。

精巣炎

おたふく風邪のウイルスが精巣に移行し、精巣が腫れる疾患です。成人になってからおたふく風邪に感染すると精巣炎になることがあり、これは男性不妊症の原因にもなります。

精巣茎捻転

精巣が急な成長を遂げる思春期に多い病気です。精巣自体が陰のうの中で回転し、血管が捻れて血液が精巣に届かなくなることによって痛みが生じます。発症から数時間内に捻れを解除する必要がありますので、緊急手術になることが少なくありません。発見が遅れると、精巣を摘出せざるを得ないケースもあります。

精巣がん

陰のう内の精巣が痛みを伴わずに、硬く大きくなります。痛みが無いために放置したり、羞恥心から医療機関への受診が遅れたりする残念なケースがあります。0~4歳と、45~59歳に小さなピークがありますが、25~34歳に大きなピークがあります。発見が遅れると、若くして命を落としかねない重大な疾患です。1日も早い受診をお勧めします。

性感染症の治療

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマは、性器や肛門のまわりに2~3mmくらいのイボが多発する疾患です。尖圭コンジローマの原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスで、ほとんどはセックスやその類似行為により感染します。他の性感染症と同様に、10代後半から30代、特に20代に多く見受けられます。パートナーへの感染を防ぐためにも、積極的な治療を要します。

尖圭コンジローマの治療法
薬による治療

尖圭コンジローマ治療薬として、世界75ヶ国以上の国と地域で使われている塗り薬(クリーム)が、日本でも2007年12月より健康保険が適用される薬として発売されました。自宅でイボに直接塗って治療することができ、瘢痕(傷跡)などを残すことも少ないのですが、塗った部位の紅斑(赤み)やびらん(ただれ)、表皮剥離(表皮の剥がれ)などの皮膚障害が高い頻度で現れ、また完治までには時間を要します。

外科的治療

いずれも外来で処置が行われます。

  • 凍結療法:液体窒素で何回か凍らせることによって除去する治療法です。
  • 焼灼:電気メスでいぼを焼き、除去する治療法です。
  • 外科的切除:メスでいぼを切り取り、縫合する治療法です。

当院では、薬による治療と外科的治療を組み合わせて治療します。

クラミジア感染症

日本におけるクラミジアへの感染者数は100万人以上に上ると言われ、感染者が一番多いと言われる性感染症です。原因はクラミジア・トラコマティスという病原体で、男性の場合は主に尿道炎を、女性の場合は腟炎を起こします。クラミジア感染症は症状が軽いため、男性・女性ともに、感染しても症状を覚えにくく、気づかないままパートナーに移してしまうことがあります。特に女性の場合は症状がほとんど出ないために、妊婦健診で検査をして初めて感染に気づくケースも少なくありません。クラミジアによって卵管炎を起こし、不妊症の原因になったりしますので注意が必要です。また、クラミジアに感染している方では、HIV(エイズウイルス)への感染率が3~5倍にも増えると言われます。

診断にあたっては、男性の場合は尿を用いるか、尿道の細胞を擦り取って検査します。女性の場合は子宮頸管の分泌物を拭い取って検査します (それほど痛みません) 。検査結果が出るまでには、7日間程度が必要です。

治療について

来院時にはクラミジア感染症と診断できないため、治療にあたっては、まず細菌にもクラミジアにも効果のある抗生物質を処方します。検査結果が出て(7日後)、クラミジアと診断された場合は、クラミジア専用の抗生物質を処方します。

淋菌感染症

淋菌への感染によって起こる性感染症です。1回の性交による感染率は約30%と高く、また淋菌に感染した人のうち、クラミジアにも同時感染している人が20~30%いると言われます。また近年、薬の効かない「耐性菌」が増えており、正しい治療を受けなければ完治しないため、次々に感染を拡げてしまうリスクがあります。
診断は男性の場合、尿を用いるか、尿道から出る膿の一部を採取して検査します。女性は子宮頸管の分泌物を拭い取って検査します(それほど痛みません)。また淋病に感染した方の25%くらいにクラミジアの感染が合併していますので、これについては尿を用いて、クラミジアの遺伝子検査を行います。結果が出るまでには、7日間程度が必要です。

治療について

淋菌に有効な抗生物質を使います。薬の効かない「耐性菌」が増えているため、内服薬での治療は効果が無いことも少なくなく、その場合は点滴による治療が必要になります。治療は必ずパートナーと一緒に行います。また、治療中の性行為は厳禁です。

性感染症がご心配な方へ

性感染症には、尿路や腟に感染する淋菌感染症や性器クラミジア感染症、主に皮膚から感染する梅毒、性器ヘルペス、尖圭コンジローム、毛の生えているところに感染する毛ジラミ、全身疾患であるエイズなどがあります。いずれも当院で検査することができますので、心配な方は受診なさってください。

女性の泌尿器疾患

急性膀胱炎

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膀胱炎は女性に多い病気で、ほとんどは尿道から大腸菌などの細菌が入り込んで発症します。特に女性は尿道が短く、細菌が膀胱に侵入しやすいので、膀胱炎になりやすく、再発を繰り返す方も少なくありません。
膀胱炎の主な症状には排尿痛、頻尿、排尿時の不快感、血尿などがあります。

急性膀胱炎の治療法

抗生物質を投与すれば、8割がたは良くなります。数日薬を服用した後、自覚症状がなくなり、尿検査で菌が消失すれば内服薬を中止できます。以前は、膀胱炎はどんな抗生物質を内服しても効果がありましたが、最近は耐性菌が多いため、細菌検査で薬剤感受性を見ながら薬を選択しないと、簡単に慢性化を招いてしまいます。そうした事態を防ぐためにも泌尿器科での治療をお勧めします。

早く改善するためのポイント

まずは薬をきちんと飲み、水分をいつも以上にたっぷり摂ってください。薬を飲むときはたくさんの水で飲み、20~30分は横にならないようにします。症状を早く軽くするためにも、薬は指示どおりにきちんと飲みましょう。予防法としては、尿を我慢しない、水分を多く摂る、性交後は必ず排尿するなどが効果的です。

過活動膀胱

過活動膀胱の主な症状は、「頻尿(トイレが近い)」「尿意切迫感」「切迫性尿失禁」の3つです。どれか1つでも当てはまれば、過活動膀胱の可能性があります。40歳以上の12%以上に過活動膀胱の症状があり、その割合は年齢とともに増加することがわかりました。日本の人口に換算すると、800万人以上の患者さんがいると推定されます。実際に悩んでおられる方は大変多いのですが、羞恥心から我慢している方がほとんどです。ひとりで悩まず、専門医に相談しましょう。

過活動膀胱の症状
頻尿(トイレが近い)

人がトイレに行く回数は、日中で5~7回、就寝中は0回が正常と言われます。日中8回以上トイレに行き、夜間は1回以上トイレに起きるようなら、それは頻尿症状と言えます。

尿意切迫感

人は、最初に尿意を感じてから1時間くらいは我慢できます。しかし尿意切迫感のある方では、強い尿意が突然訪れるとともに、一度その尿意を感じると我慢することが難しく、トイレに駆け込まなければなりません。

切迫性尿失禁

急に尿がしたくなってその高まりが急なため、トイレに着くまで我慢できず、もらしてしまうタイプの尿失禁です。

過活動膀胱の原因

脳梗塞・脳出血などによるものを除けば、いくつかの原因が複雑に絡み合って特定できないものや加齢によるものが一番多く存在しています。症状による診断だけでは他の病気(膀胱がんや結石、膀胱炎)との見分けがつかないケースがあるので、症状にお困りの方や気になる方は泌尿器科への受診をお勧めします。

過活動膀胱の治療

過活動膀胱の治療では、まず薬物療法を行うのが一般的です。抗コリン薬という薬を内服すれば、かなりの割合で効果が期待できます。また、膀胱訓練で排尿間隔を広げるようにしていきます。尿意切迫感を感じても慌てずに深呼吸し、膀胱の収縮の波が治まったところでトイレに行くようにし、骨盤底筋体操を行って堪えるコツをつかみましょう。毎日の生活の中でも、下半身を冷やさないように注意したり、水分摂取バランス(摂り過ぎ・摂らな過ぎをしないよう)に気をつけるなど、尿トラブルを軽減するポイントはたくさんあります。

腹圧性尿失禁

急に立ち上がった時や重い荷物を持ち上げた時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入った際に尿がもれてしまうのが腹圧性尿失禁です。女性の4割を超える2,000万人以上が、この疾患に悩まされていると言われます。

腹圧性尿失禁の原因

女性のからだの中の骨盤には、膀胱、尿道、子宮、直腸などの臓器があります。
これらは骨盤底にある骨盤底筋という、筋肉や靭帯の束によってしっかり支えられています。しかし、この骨盤底筋が出産や加齢、女性ホルモンの低下などによって緩んでくると、膀胱や尿道がぐらついてしまい、しっかり支えられなくなるので、尿道がうまく閉じずに、尿がもれてしまうという事態が起きてきます。40歳以上の女性の8人に1人くらいが腹圧性尿失禁の症状をもつと言われます。

腹圧性尿失禁の治療

軽い「腹圧性尿失禁」なら、骨盤底筋体操で尿道周囲の外尿道括約筋や骨盤底筋群を強くすることで、かなりの改善が期待できます。骨盤底筋体操では改善しない場合、または不満足な効果が得られない場合は、薬による治療や手術の適応となります。最近では、ポリプロピレンメッシュのテープを尿道の下に通してサポートするという「TVT/TOT手術」が長期的な成績も良好で、侵襲性(体への負担の度合)も低く、優れています。まずは症状の程度や他の疾患の有無などを確認するためにも、お困りの方や気になる方は泌尿器科への受診をお勧めします。

加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群

加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群とは

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LOH症候群は「加齢男性性腺機能低下症候群」の略で、男性ホルモン(テストステロン)の低下が原因となって引き起こされる様々な諸症状を総称した疾患名です。簡略に言えば「加齢に伴う身体の変化により現れてくる諸症状」です。生殖器には、テストステロンの働きが顕著に影響するため、テストステロンが減少すると、「早朝勃起の減少」や「勃起不全(ED)」などの症状が現れます。また、テストステロンの影響は脳にも及ぶため、テストステロンの減少によってイライラ感や不安感、憂うつ感や性欲減退など、精神的な症状がもたらされることもあります。
以下に、LOH症候群の主な症状を挙げておきます。

LOH症候群の主な症状

  • 早朝勃起の減少や勃起不全(ED) ← 生殖器への影響
  • イライラ、不安感、憂うつ、性欲の減退 ← 脳への影響
  • 不眠、疲労感、無気力が続く ← 脳への影響
  • ひどい発汗 ← 皮膚・脳への影響
  • 筋肉量の減少 ← 筋肉への影響
  • 骨量の減少 ← 骨への影響
  • ヒゲの伸びが遅くなる ← 体毛への影響

男性更年期の原因

加齢による多様な体の変化、およびストレスが、男性更年期障害の要因になるものと考えられています。男性ホルモンの分泌量は20代中頃をピークに、30代前半頃から減少し始めます。そのため、更年期(40代後半~50代前半)、熟年期(50代中頃~60代前半)、老年期(60代中頃以降)と呼ばれる年代がLOH症候群になりやすい年代に当たります。
最近は、LOH症候群の患者さんは30代でも増加する傾向にあります。30代中頃~40代前半の男性は、社会的なストレスに晒される機会が非常に多いものです。男性ホルモンを含め多くのホルモンは、その生成・分泌においてストレスの影響を受けやすいという特徴を持っています。若い人ほどストレスの影響が強く、強いストレスに晒され続けると男性ホルモンの生成・分泌が妨げられます。日常的にストレスに晒される状態が継続することによって、30代の方であってもLOH症候群を発症してしまうのです。

LOH症候群の症状

下表は、広く世界的に使用されている問診表ですが、当てはまる症状が1ヶ月続くようならLOH症候群が疑われます。特に合計点が50点を超える場合は、専門医による診察をお受けになるよう、お勧めいたします。

評価基準 なし:1点、軽い:2点、中等度:3点、重い:4点、非常に重い:5点

症状

点数

1. 総合的に調子が思わしくない(健康状態、本人自身の感じ方)

2. 関節や筋肉の痛み(腰痛、関節痛、手足の痛み、背中の痛み)

3. ひどい発汗(思いがけず突然汗が出る、緊張や運動とは関係なくほてる)

4.睡眠の悩み(寝つきが悪い、ぐっすり眠れない、寝起きが早い、疲れがとれない、浅い睡眠、眠れない)

5.よく眠くなる、しばし疲れを感じる

6.いらいらする(当たり散らかす、些細な事にすぐ腹を立てる、不機嫌になる)

7.神経質になった(緊張しやすい、精神的に落ち着かない、じっとしていられない)

8.不安定(パニック状態になる)

9.身体の疲労や行動力の減退(全般的な行動力の低下、活動の減少、余暇活動に興味が無い、達成感が無い、自分をせかさないと何もしない)

10.筋力の低下

11.憂うつな気分(落ち込み、悲しみ、涙もろい、食欲がわかない、気分のむら、無用感)

12.「人生の山場は通り過ぎた」と感じる

13.力尽きた、どん底にいると感じる

14.ひげの伸びが悪くなった

15.性的能力の衰え

16.早期勃起(朝立ち)の回数の減少

17.性欲の低下(セックスが楽しくない、性交の欲求が起こらない)

合計

男性更年期障害の程度
合計 17~26点:無し、27~36点:軽度、37~49点:中等度、50点以上:重度

LOH症候群の治療

  • 漢方薬:
    お一人一人の自覚症状や「証(しょう)」(漢方的な基準からみた心と体の状態)に合わせて処方いたします。八味地黄丸、補中益気湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、十全大補湯、芍薬甘草湯、当帰芍薬散、加味逍遙散などがよく使われます。
  • 抗うつ薬、抗不安薬
  • ホルモン補充療法
HCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)

精巣からテストロンを分泌するように命令するホルモン「HCG」5,000単位を週1回筋肉注射します。

エナルモンデポー(男性ホルモンの注射薬)

まず250mgを3週間に1回筋肉注射します。2回目の注射後7日後にフリーテストステロン値を測定して、この値が改善していることを確認します。

グローミン

外用薬であり、塗るだけですので、自宅での治療が可能です。男性ホルモンを注射投与して症状が改善した方や、遠方ゆえ注射に通えない方に使用します。

男性ホルモン補充療法が行えないケース

既に以下の疾患・症状をもっている場合は、注入する男性ホルモンが悪影響を及ぼす可能性が高くなるため、男性ホルモン補充療法は行えません。

LOH症候群の補充療法が行えない疾患・症状

  • 前立腺がん
  • 中程度以上の前立腺肥大症
  • 乳がん
  • 肝機能障害(重度)
  • 腎機能障害(重度)
  • 重度の高血圧
  • 多血症
  • うっ血性心不全
  • 睡眠時無呼吸症候群 など

当院におけるLOH症候群の治療の流れ

  • LOH症候群を診断するため、まず問診票で自覚症状をお聞きします。
  • 血液検査で下記の検査をするために、採血をします。
    • ・フリーテストステロン:テストステロンの量を測定します。
    • ・他の性腺に作用するホルモン
    • ・肝機能検査:男性ホルモンを投与することにより、肝障害や多血症などの副作用が生じるケースがあるため、定期的に調べます。
    • ・糖尿病・脂質代謝異常の検査
    • ・前立腺特異抗原(PSA):男性ホルモンの投与により、潜在している前立腺がんを進行させる可能性があるため、前立腺がんが無いかを確認します。
  • 1.2.の結果を踏まえ、ホルモン補充療法の適応があるかを判断します。漢方薬や抗うつ薬、ED治療薬などを併用することもあります。必要に応じてサプリメントやアロマセラピーなどによる代替療法も行われます。

お子様の排尿トラブル

包茎

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亀頭部が、包皮に覆われている状態を包茎と言います。息子さんが包茎だと、気にされるお母さんが少なくありませんが、思春期前の子どもは、ペニスの先端(亀頭)は包皮で覆われている状態が普通です。しかし、包皮の中も普通の皮膚と同様に垢が溜まってきます。これを洗わないでいると、汚い手で触ったりした時にばい菌が入り、炎症を起こして赤く腫れてきます(亀頭包皮炎)。このため、包皮をむいて、中を洗わないといけません。
一方、手で包皮を反転させようとしても亀頭部が出てこず、まったく見えない状態を真性包茎と言います。この状態のまま成長してしまうと、大人になっても包茎のままで、手術をしなければならなくなります。真性包茎のお子様については、包皮が簡単にむけるようになる排尿方法の指導、ならびに副腎皮質ホルモンの外用療法を行っています。時間はかかりますが、痛みの少ない治療法です。副腎皮質ホルモン軟膏を塗ることによる副作用を気になさる方がおられますが、心配はいりません。外用する薬は、量も少なく、また外用する期間もせいぜい1~2ヶ月と短期のため、ほとんど副作用は生じません。

おねしょ(夜尿症)

おねしょとは、夜間寝ている間に無意識のうちに排尿してしまい、パジャマや寝具を濡らしてしまう状態を言います。赤ちゃんは、毎日おねしょをしています。1歳を過ぎると少しずつ尿意がわかりだし、尿意を告げることができるようになってきます。昼間のオムツがはずれ、夜間のオムツもとれるようになってきます。3歳では約60%、5歳で約80%の子どもでおねしょがなくなります。6~7歳(小学校入学後)を過ぎてもおねしょをすることを「夜尿症」と呼びます。

夜尿症の罹患率の目安

  • 幼稚園年長時 約15%
  • 小学校3年生 約8%
  • 小学校5~6年生 約5%

夜尿症の多くは自然に治っていくことが多く、また夜尿が身体に悪影響を及ぼすものでないことから、放置されることが多いようです。しかし、夜尿症のため学校行事に参加できなかったり、子どもさんが自分に自信をなくしたりして、心理面・社会面・生活面に様々な影響を与えることがあります。なるべく早く治療を行って、少しでも早く治してあげることが必要かと思います。

夜尿症の診断

当院では、夜尿症の診断にあたり以下の検査を行います。夜尿がある子どもさんの5~10%程度に夜尿症以外の病気がみつかることがあります。その他に問診、昼間の排尿記録、夜尿日記をつけてもらい、主な夜尿症の原因を特定します。

尿検査

尿浸透圧や尿比重の検査を行います。また、尿に蛋白や血液成分が含まれているかどうかを調べます。

血液検査

造血機能、肝臓、腎臓等に異常がないかを血液で検査します。

尿流率測定

便座一体型の尿流測定装置で排尿することにより、尿の勢いを調べます。尿流曲線や尿流速度を分析し、膀胱機能を評価します。

超音波検査

夜尿症以外に病気がないかどうかを調べます。また、排尿後の残尿量を測定します。

夜尿症の治療

おねしょの治療にとって、生活指導はたいへん重要です。まずは「起こさず、怒らず、焦らず」の3原則を守りましょう。これに加え、規則正しい生活(夜ふかしや朝寝坊をしない)、水分摂取リズムの調整、冷え症状への対応、昼間のおしっこ我慢訓練等をご指導いたします。生活指導で改善しないような場合は、小学生以上のお子様には夜尿症の原因に合わせて、薬物療法や夜尿アラーム(夜尿を知らせるブザー)による治療を行います。