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糖尿病性腎症

糖尿病性腎症について

糖尿病性腎症とは


糖尿病性腎症は、糖尿病の三大合併症の一つであり、高血糖状態が長く続くことで腎臓の機能が低下する病気です。
腎臓の中には、血液をろ過して老廃物を排出する「糸球体」と呼ばれる毛細血管の束が約100万個あります。
血糖値が高い状態が続くと、この糸球体が少しずつ傷つき、老廃物をうまくろ過できなく なります。
初期には自覚症状がほとんどありませんが、進行すると尿にタンパク質が漏れ出し(タン パク尿)、やがて腎不全へと至ることもあります。
進行を抑えるには、早期発見と血糖・血圧の厳格なコントロールが重要です。

主な症状


糖尿病性腎症は、初期ではほとんど症状がなく、定期検査で初めて見つかるケースが多い病気です。
進行すると、以下のような症状が現れます。

  • 尿にタンパクが混じる(タンパク尿)
  • 体のむくみ(顔・手足)
  • 倦怠感・疲れやすさ
  • 食欲不振
  • 体内に老廃物が溜まることによる吐き気や息苦しさ

さらに腎機能が低下すると、体に老廃物や余分な水分がたまり、腎不全や尿毒症を発症することもあります。

検査・診断

糖尿病性腎症の診断には、主に尿検査と血液検査を行います。

尿検査

尿タンパク検査:尿にタンパク質が混ざっていないかを確認します。
尿中アルブミン検査:ごく少量のアルブミン(タンパク質)でも検出できる検査で、初期 段階の「微量アルブミン尿」を見つけることができます。
尿中アルブミンの排泄量により、病気の進行度が分類されます。

病期 特徴 尿アルブミン値(mg/gCr) GFR(mL/分/1.73㎡)
第1期(腎症前期) 正常アルブミン尿 30未満 30以上
第2期(早期腎症期) 微量アルブミン尿 30~299 30以上
第3期(顕性腎症期) 顕性アルブミン尿/持続性タンパク尿 300以上 30以上
第4期(腎不全期) 腎機能低下 問わない 30未満
第5期(透析療法期) 透析導入期 - -
血液検査

血液中のクレアチニン値から推算糸球体ろ過量(eGFR)を求め、腎臓の働きを評価します。
eGFRが30mL/分/1.73㎡未満になると、腎不全の可能性が高くなります。

治療について

糖尿病性腎症の治療の目的は、腎機能の悪化を防ぎ、合併症の発症を抑えることです。
病期や症状に応じて、以下の治療を組み合わせて行います。

1. 血糖コントロール

血糖値を適切に保つことが最も重要です。
経口血糖降下薬やインスリン療法を用い、血糖を一定に保つことで腎臓への負担を軽減し ます。
早期であれば、厳格な血糖管理により尿検査の異常が改善する場合もあります。

2.血圧・脂質の管理

高血圧や脂質異常症は腎臓にさらなる負担をかけるため、同時に治療します。
ACE阻害薬やARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)など、腎保護効果のある降圧薬 を使用することがあります。

3.食事療法・生活習慣の改善
  • 塩分・たんぱく質の摂取を控える
  • アルコールを控え、禁煙を徹底
  • 適度な運動と体重管理

病状が進行している場合は、医師・栄養士の指導のもとで食事内容を調整します。

4.薬物療法

症状の進行や合併症に応じて、次のような薬が用いられます。


  • 血糖降下薬(経口薬・インスリン)
  • ACE阻害薬/ARB
  • 利尿薬
  • 経口吸着剤(体内の老廃物除去を補助)
  • 抗血小板薬(血流改善)
5.透析療法

腎機能が著しく低下し、体内の老廃物を排出できなくなった場合は、透析治療(血液透析・腹膜透析)を検討します。
ただし、早期に適切な治療を行うことで、透析を必要としないように進行を抑えることが 可能です。

予防と早期発見のために

糖尿病性腎症は、早期には自覚症状がないため、定期的な尿・血液検査が何よりも大切です。
特に、糖尿病と診断された方は、年1回以上の腎機能チェックをおすすめします。
血糖・血圧・脂質のバランスを保ち、生活習慣を整えることで、腎臓の健康を長く維持することができます。

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