※まず皆さんにまず伝えたいことは、赤くなり周辺にまで炎症が広がったにきびを潰すと跡になり、その痕や色素沈着を治すのには時間や金銭面が負担になってしまいます。なるべく悪化させないよう、痕を残さないようにするため、にきびができたらすぐにクリニックへご相談ください。

「にきび」という言葉はよく耳にしますが、病態的にはとても複雑です。思春期に多い皮脂の分泌によるもの、ホルモンの関係性、毛穴のつまり、ニキビ菌など原因は一つではありません。そして治療も様々で、保険適応のものからケミカルピーリングやレーザーなどの自費治療、今では保険適応のニキビ治療も多数あります。

ニキビができる原因

おでこやほほ、あごなどにできるニキビは、毛包や皮脂腺で炎症を起こしている状態です。
ニキビのできる原因は、1過剰な皮脂の分泌、2毛穴の出口のつまり3ニキビ菌の繁殖4ホルモンバランスの崩れなどがあげられます。

ニキビの経過 

①ニキビ菌は正常な皮膚の毛穴にも存在しています。

皮脂腺で作られた皮脂は毛の生えている毛穴から皮膚の表面に出て行きます。

②角質などがたまることによって、毛穴の出口がつまってしまい皮脂が外に出られなくなります。この状態が、面皰という小さな白いニキビです。

③皮脂がたまると、皮脂が大好物のニキビ菌が増えます。

ニキビ菌が増えることにより炎症を起こし赤い炎症が起こります。

④皮膚の下で広がったニキビの袋が耐え切れなくなると

ふくろが破裂して広がり、ウミを持つようになります。

痛くて、赤くて、腫れて、熱感を持ちます。

この状態を、膿疱:のうほう、または炎症性アテロームといいます。

⑤ニキビをつぶしたり、髪の毛がふれたりすると、刺激でニキビはますます悪化します。

⑥ニキビを悪化させると、なおったあとにニキビあとが残ってしまいます。

この状態を、ニキビ痕、正式名称は瘢痕:はんこんといいます。

 

(図のみ引用;大塚製薬「ニキビ」HP)

ニキビの種類

脂腺性毛包(しせんせいもうほう)

大きな皮脂腺をもつ毛孔で、顔、胸、背中、に分布(上のイラスト中の赤い部分)。皮脂腺から皮脂が分泌され、皮膚のうるおいを保ちます。ニキビ(尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう))は、この脂腺性毛包に起きる病気です。

面皰(めんぽう)(ニキビの初期段階)

毛孔がつまって皮脂がたまり、毛孔がふくらんだ状態。細菌(ニキビ菌)が増えやすい状態です。

丘疹(きゅうしん)(進んだ段階)

赤く炎症を起こし、丘のように盛り上がっている状態。ひどくなると「膿疱」になります。

膿疱(のうほう)(さらに進んだ段階)

毛孔が破壊され、「丘疹」がひどくなった状態。ニキビ菌が増え、うみ(膿)がたまり、炎症がひどくなります。

にきびの治療法

当院でにきび治療は、主に以下のような方法があります。具体的にどの方法を用いて治療するかは、にきびの状態によって異なりますので、医師にご相談ください。

外用薬(塗り薬)

にきび治療における塗り薬は、角質を柔らかくして毛穴詰まりを抑えるアダパレン外用薬と炎症を抑える成分や抗菌作用のある成分のものが多く使用されます。さらに、過酸化ベンゾイルという成分の入った薬が殺菌力と皮脂の過剰分泌を抑える効果があり、当院では処方する頻度も増えています。

内服薬(飲み薬)

飲み薬では、皮脂の分泌を抑えるビタミンB2やB6、ビタミンCが含まれたビタミン剤、炎症を抑える薬などが処方されることもあります。炎症がひどい場合には、抗菌薬として、アクネ菌を抑える効果が期待できるテトラサイクリン系薬剤を使用します。また、十味敗毒湯などにきびに効果のある漢方も多く存在し、にきびができやすい体質の改善を目的として漢方薬を用いることもあります。

面皰圧出

面皰圧出という処置を行うこともあります。毛穴のつまりを外科的に取り除き、面皰圧出器を用いてニキビを圧出します。毛穴内に詰まった皮脂を押し出すため、重症化を防ぐことが期待できます。自分で行うと、にきび内に細菌が入り込んで重症化したり、痕が残ってしますこともあるので、経験のある医師のもとで行いましょう。

にきびは毛穴に生じる炎症ですが、悪化すると炎症が毛穴周辺の組織にまで広がっていきます。炎症によるダメージを受けた組織はでこぼこになることも多く、にきびが治ってもクレーターのような跡ができてしまうことも少なくありません。

とくに、顔にできたにきびの跡は美容上の観点からも精神的に大きなダメージとなることもあります。にきび跡を改善するために行われる治療は、主に以下のようなものがあります。

ステロイド注射

盛り上がったにきび跡になっている場所にステロイドを直接注射する治療法です。ステロイド注射は、にきび跡だけでなく、ケロイドや皮膚の傷跡に対する治療法として広く用いられています。

ケミカルピーリング(自費診療)

ピーリングは、古い角質除去と肌の新陳代謝を促進させるといわれています。

使用する薬剤や方法にはさまざまな種類があります。また、人によっては合わない場合もあるため、医師と事前によく相談することが大切です。

エステサロンのような場所でも行っていることがありますが、ピーリングが適切かどうかの判断は、皮膚科医が診察によって行うことが大切です。皮膚科や美容を専門とするクリニックでピーリングを行っている施設を探すのがよいでしょう。ただし、いずれの場合も保険適応外であることに注意が必要です。

→詳しくはこちらのケミカルピーリングのページをご覧ください。

 

レーザーを用いた方法(自費診療)

レーザーや極めて細い針を用いてへこんだにきび跡にごく小さな穴をたくさん開け、その傷が治るときに皮膚の再生能力を発揮させ、へこみを改善する方法があります。

何度か繰り返す必要はありますが、現在のところ有力な治療法ともいわれています。しかし、こちらも2019年11月時点では保険適応外であることに注意が必要です。

いずれにせよ、にきび跡は治しにくいもののため、跡をつくらないように早めのにきび治療を心がけることが大切です。

→詳しくはこちらのレーザーフェイシャルのページをご覧ください。

 

ハイドラフェイシャル(自費診療)

ハイドラフェイシャルとは、従来のピーリング(薬剤によって肌表面の角質を除去する施術)とは異なり、水流を利用してピーリングを行う治療マシンです。流水で汚れを洗い流し、吸引し、ピーリングをして、美容液導入までがすべてセットになっています。

ダウンタイムが非常に少なく、お肌にやさしいピーリングトリートメントが可能で、毛穴の開き、黒ずみ、ニキビ、ニキビ跡、シミ、くすみ、色素沈着、オイリー肌などに幅広く効果が期待できます。加齢に伴って、お肌のターンオーバーのサイクルが遅れ、古い老化角質や皮脂などの汚れがお肌表面や角栓に溜まります。ハイドラフェイシャルは、特許取得のハンドピースで、これらの汚れた表皮、皮脂、角質、角栓を渦巻き状の水流を利用してマイルドに取り除き、毛穴の奥まで洗い流します。また、ハイドラフェイシャルには、皮膚の角質や角栓の汚れを落とすだけでなく、真皮のコラーゲン増生を促進するという効果も期待できるため、お肌のハリやツヤを取り戻し、くすみやかさつきを予防して、お肌の若返り効果・美肌効果を見込むことができます。

→詳しくはこちらのハイドラフェイシャルのページをご覧ください。

 

ダーマペン4

ダーマペンとは、極細の針で皮膚表面に目に見えないほどの微小な穴を開けることで、肌の再生能力を活性化させ、凹凸のない滑らかな肌に導く治療法です。当院では、D-CELLというサーモン注射と同等のポリヌクレオチドを導入がセットになっております。皮膚に針で刺激を与えることで、古い皮膚が新しい皮膚へと再生するとともに、肌内部では活性化した線維芽細胞がコラーゲンやエラスチンなどが産生され、ニキビ痕の底上げをし、張り感がでます。小じわや毛穴の開きを改善し、ハリのある素肌も期待できます。また、微小な穴が開いている状態で、トラネキサム酸、プラセンタ、ビタミンンなど目的に応じた美容成分をオプションで塗布することで、成分が肌の奥まで浸透。ダーマペンとの相乗効果で、即効かつ高い効果が得られます。

→詳しくはこちらのダーマペン4のページをご覧ください。

 

自分でできるにきび予防・対処

にきびは原因がさまざまで、適切な治療を行ってもなかなか改善されないことが多いものです。ここでは、なかなか治らないにきびの原因として考えられるものや、自分でできる予防・対処法をお伝えします。

洗顔と保湿が大切

にきびの予防・改善のために大切なことは丁寧な1日2回の洗顔です。洗顔のポイントとしては、泡をしっかり立てて毛穴の内部に詰まった皮脂を取り除くように優しく洗います。すすいだ後に拭き取る際も強く擦らないことが大切です。皮脂は皮膚が乾燥すると分泌量が増えるため、保湿が大切です。年齢を重ねると肌質も変わるため、10代の頃から同じものを使用しているという人は、化粧品も変えましょう。しかし、なかなかにきびが改善しない場合には、跡を残さないためにも早めに病院で治療を受けることを検討しましょう。

治りにくいにきびの原因と対処法

①ストレスが関係している場合

あご周りが中心で、なかなか治らないにきびには、ストレスが関係している場合もあります。精神的なストレスから身体的なストレスまでさまざまですが、精神的ストレスを自覚している人は自分に合った発散方法を見つけてうまく切り替えができるとよいでしょう。疲労や睡眠不足が挙げられます。休めるときにはゆっくり休むよう心がけましょう。

②ホルモンバランスの乱れが関係している場合

ホルモンはにきびと深い関わりがあります。ホルモンバランスの改善はにきびの改善に期待できるとされており、睡眠や休息の確保など、生活習慣の見直しで改善していく場合があります。女性の場合は、出産や月経周期、閉経とにきびが連動していることも多いようです。月経の周期が規則正しいかなども注意してみるとよいでしょう。月経周期が不規則な場合には、子宮や卵巣の異常があること多く、婦人科を紹介してもらうなどの対応もあります。

③乾燥が関係している場合

30代からのニキビはこれが原因のことがおおいです。乾燥肌の人は、にきびができやすいといわれています。にきび肌というと脂性肌がイメージされることがありますが、実は皮膚の乾燥が皮脂の過剰分泌を促すため、にきびができやすくなることがあります。「Tゾーンはよくてかてかしているけど」という方も乾燥の場合が多いです。洗顔後は皮膚が乾燥しやすい状態のため、しっかりと保湿することが大切です。

 

しおざわクリニック