粉瘤とは

皆さんも、ことばは聞いたことがある、またはネットでしらべたことはあると思います。皮膚の下に出来る「にきびの袋」で良性の皮下腫瘍です。多くは背中や顔の頬、耳たぶなどにできる腫瘍です。球状の固まりとして触れ、皮膚を動かすと、できものも動き(可動性がある)、真ん中に黒い毛穴の開口部が見られる(コメド)こともあります。

 

粉瘤の原因

患者様には、「私はできやすい体質なのでしょうか」「またでてきますか」などの質問を受けることが多いのですが、発生の原因は判らない場合が多数です。打撲や外傷などの後に起こることやニキビ痕にできることもあります。皮膚の上皮成分(表皮)が皮内や皮下に落ちて袋を形成し、その中に粥状をした角質や皮脂が貯まってできた固まりです。

粉瘤はできもの一種ですが、中央に小さな穴があり、そこを押すと臭くて白い粥状の物が出るのが特徴です。この粥状の物はよく脂肪のカタマリと言われますが、実は垢のカタマリです。粉瘤はすべてに穴が開いているわけではありません。毛根や脂腺・汗腺などにある表皮細胞が袋を作るもととなった場合は、穴はありません。

あまり大きくならず自然に無くなることもあります。しかし、多くは放っておくと徐々に大きくなり野球のボールほどになることもあります。時には細菌感染を起こして急にその大きさを増し、赤く腫れて痛みを伴います。皮膚が破けると膿汁と臭い粥状の固まりを排出します。赤く腫れているときに膿を出そうとして無理に圧迫すると、袋が破れて『炎症性アテローム』となることもあります。またそれが脂肪組織に及ぶと膿皮症という状態になる場合があり慢性化することもあります。

 

粉瘤かな?と思ったら気を付けるポイント

まず、小さいうちであれば内服や外用のみでなくなってしまうこともあります。しかし、袋があまりにも大きくなると手術が必要で、痛みをともなわなければ1回でおわることがほとんどです。しかし、放っておいて袋が破裂すると、まずは局所麻酔袋を切開して膿を出します。そのあとは連日処置が必要になります。その後3か月ほど時間をおいて、炎症が収まりましたら固まりを除去する局所麻酔の手術を行うことになります。炎症がおきてからでは、時間も労力もかかりますので、「ん?このしこりはなんだ?」と思いましたらまずは、早めに受診して診断や処置をすることをお勧めします。背中などでは、自分普段見られない場所ですので、大きくなってからの受診や、破裂して痛くなってから受診される方がほとんどです。気づかなかったことは恥ずかしくありませんので、まずは判断を仰ぐためにすぐに受診しましょう。

大きくなったり、赤くはれたりしてからでは大変ですよ。

 

鑑別診断を要するモノ

石灰化上皮腫・・やや黒っぽく粉瘤よりも固い

脂肪腫・・皮膚との癒着はなく、皮下で動く腫瘍。小さくならない。

ガングリオン・・指に多く、四肢など関節や筋の上に出来て穿刺すればゼリー状の液が出てくる。

類皮嚢腫(デルモイドシスト)・・胎生期の遺残物で目や鼻の周りなどの骨縫合部などに出来やすく、中に黄色の液体と毛など貯留

 

鑑別は、超音波検査でもある程度は可能ですが、確定診断は手術後の病理結果となります。

 

治療法

粉瘤の場合は、状態により治療法も異なりますが、目安としてご覧いただければと思います。

  • 3mm以内で小さく感染のない場合や、炎症が弱いものは抗生剤や抗炎症剤の投与で経過を診す。

 

  • 内服外用でもなくならないものや、感染のないものは、日帰りでの局所麻酔手術で摘出します。これは保険適応となります。手術時間は、大きさや深さ、部位にもよりますが、10分から30分となります。腫瘍の直径の5倍の長さで開口部を含めて紡錘形に皮膚にデザインをし、切開をして内容物を袋ごと摘出し皮膚縫合します。

 

  • 感染のある場合、切開・排膿して、洗浄や軟膏処置を行い、傷が落ち着いた後、3か月ほど期間を置いて日帰りの局所麻酔の手術を行います。しかし、感染のない場合に比べて治療期間が長くなり、傷痕も残ります。 手術によって、溜まった内容物を袋(嚢胞)ごと取り除きます。破裂した後の袋はすべて取り除くことは不可能で、袋を取り残すと再発するので、完全に除去することが大切になります。

まずは、粉瘤なのか、炎症や感染があるのか、を医師の診察で判断しましょう。

しおざわクリニック